「会社の会議より、母親のアイデアのほうが面白かった」-インタビュー Blabo!代表坂田直樹

Blabo!編集部
2014.05.12

CROSSOVER展

Blabo!マガジンの新しい企画「アイデアの達人」シリーズはじまります。5つの質問を通して、いろんなアイデアマンの脳みその中に迫っていく予定です。どんなときに閃くのか、どんな本を読んでいるのか、アイデアとは一体なにか。第1回はBlabo!代表の坂田直樹からスタートです。今後、編集者、デザイナー、はたまた主婦といろんなジャンルの方々にインタビューしていきます。

プロフィール

坂田直樹 / Naoki Sakata

株式会社Blabo代表取締役。1歳〜7歳までニューヨークで過ごす。外資系消費材メーカーマーケティング部門にてブランド戦略立案、新商品開発に従事。シャンプーからウェブサービスのプロデュースへ転身し、株式会社エニグモ プロデューサーとして新規事業立ち上げ後、Blabo!創業。

Q.1 「これが自分だ」と思えるお仕事(企画やプロジェクト)をご紹介ください。

だれでもプランナーになって、企業の本当の企画会議に参加できる「Blabo!」というウェブサービスをやっています。企業の中で商品開発をしていると制約ばかり頭に浮かんでしまい、常識を超えたユーザーが本当にほしいものをつくることってむずかしくなってしまうんです。この問題意識は僕が消費材メーカーで新商品開発をしていたときに痛感したものです。僕の同僚をはじめ、他社のマーケターにも聞いてみましたが、同じ問題を抱えていました。「会社の中にいると普通の主婦の感覚が分からなくなってしまう」「もっとお客様の近くにいたらニーズがわかるけど、リサーチで数字を見てもいまいちアイデアが湧かない」などなど、作り手と使い手の間にもとんでもない溝があることがわかりました。

そこで、僕は消費材メーカーをやめてエニグモで立ち上げたのが『Blabo! みんなの企画会議』です。オンライン上に企画会議室をひらいて、お題を出すと日本中からアイデアが集まる仕組みです。会社にいながら、お茶の間の発想を、集められます。三井不動産レジデンシャルなど大企業の企画会議にも、学生も主婦も関係なく参加できちゃいます。今年からは市長をはじめとする行政が使い始めたり、日本全国に拡大し始めています。

Q.2 よいアイデアは、いつ、どこで、どんなふうに閃きますか?

僕はポンと思い浮かぶことはほとんどありません。だいたい誰かが困っている姿を目にしたり、自分が不満に思っていることを掘り下げることからアイデアづくりははじまります。

アイデアの定義はいろいろとあるかと思いますが僕は「解決策の糸口である」と考えています。思いつきには課題がないことが多いんです。アイデアにはかならず対となる課題があります。

だから、ちょっとネガティブに聞こえるかも知れませんが不満だったり、不安を自分の中にちゃんと持っておくことが、ポジティブなアイデアのはじまりかと思っています。

Q.3 アイデア脳を鍛えるために、日頃こころがけていることはなんでしょう?

食わず嫌いをなくすことです。

たとえばハワイってみんな行っててミーハーだから行かないんじゃなくて、それだけ人気なわけがあるはずだから、まずは行ってみる。思いっきり楽しんでみるという気持ちが大切かなあって思います。

「サーフィンってちゃらいよね」じゃなくてなんであんなにハマっちゃうんだろうってトライする。僕もサーフィンをはじめたのですが波から教わることって経営にも通じるってわかったんです。サーフィンってどんなにうまくても波がなかったらはじまらない。そんなときはもがくんじゃなくて、らくーに待つ。焦るんじゃなくてままならない状態のときはあらがわない。波を相手にしないとわかんないことがたくさんありました。まあ、単純に海の上にぷかぷか浮かぶって気持ちいいですしね。

こんなふうに感じたこと、問題意識を貯めていくと、あるときフッと頭の中でクロスオーバーして取り組みたい課題になったりします。

Blabo!が生まれたきっかけもひょんなことでした。消費材メーカーで新商品開発をしていたのですが、実家に帰ったときに母親にどんなシャンプーがほしいか聞いてみたら、アイデアがおもしろいんですよね。それなのに20人のグループインタビューをするのに1ヶ月待って、高額を支払わないといけないのおかしいでしょという問題意識から生まれています。

日本中の生活者といつでも、気軽に対話して、インタビューするだけじゃなくてアイデアまで出してもらえたら、もっと商品開発が向上すると思ってBlabo!をつくりました。もしかしたら実家に帰っていなかったらBlabo!は生まれていないかもしれません(笑)

Q.4 この本は手元に置いておきたい。そんな一冊をご紹介ください。

リクルートでメディアを立ち上げまくったくらたまなぶさんの『「創刊男」の仕事術』です。

会社の中で仕事をしていると頭でっかちになって、自分の足で確かめなくなっちゃう傾向があります。(もちろん優秀な方は自分で体験して、足を運んだりしているのであくまでも傾向です)僕もそうだったんですよね。パソコンで数字と競合とにらめっこしてても発想なんて生まれてこない。でも真実は、まちの中に、生活者との対話の中に潜んでいると思っています。この考え方を地でいって世の中の「不」を肌で感じて、そこから事業をつくりつづけたくらたさんの方法論が詰まったオススメ本です。

Q.5 ズバリひと言でお願いします。あなたにとってアイデアとは?

アイデアとはメガホンです。

そのこころは?ということになりますよね。

僕は大きな工夫で、大きな成果を出すのは当然だと思っています。そうじゃなくて、小さな工夫で、大きな成果がでるような考え方のことをアイデアと置き換えています。

メガホンってプラスチックのただの筒なのに、声が三倍になるってハンパないアイデアだなあって思うんですよね。そんな枯れた技術なのに、大きな成果がでるようなものが、アイデアだと捉えています。