遡ること10年、私は消費財メーカーのマーケティング部門で商品開発をしていました。ドアの閉まった会議室で、いつもと同じメンバーと新商品のブレインストーミング。数年、仕事をしてきたこともあって気心は知れているし、消費者リサーチのデータは手元にありました。もちろん、競合企業の製品やその評判についても熟知していました。問題なのは、作り方はわかるのに「何を作ったらいいかわからなくなっていたこと」でした。

その原因は、ユーザー視点の不在です。社内で同じメンバーと企業視点からのものづくりをする、そんな企業の論理で作った商品に、ユーザーが見向いてくれるわけがありません。そんなとき、週末に立ち寄った八百屋の店主と話す機会があり、これこそがあるべき生活者と企業の姿だ!と感じたのです。気さくに生活者と対話し、好みを聞いて、それに合った野菜をすすめてくる。そんな、昔ながらの商いでは当たり前のことすら、私たちはマスマーケティングという名の下にできなくなってしまっていたのです。

しかし、日本にはユーザーを調査対象として扱う従来の手法しかなく、生活者と共創できるサービスがありませんでした。そう、Blaboを創業したきっかけは、何を隠そう自分の問題を解決するためだったのです。お茶の間の発想を、会社の中に取り入れられる仕組みを作りたい。そうすれば「商品を出してみたら、市場から外れていた」という悲しい現実を減らせるはずだ。この仮説を信じ、ユーザーとのオープンイノベーションプラットフォームBlabo!を立ち上げました。

キリンビール、ハウス食品など大手メーカーから経産省、神奈川県など行政も活用する、2万人を超える生活者プランナーがいる日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームに成長しました。ユーザー視点で実現した商品が増え、「生活者のみなさんと一緒に作りました」というロゴとともに全国で販売され、さらには、NHK、フジテレビ、日本経済新聞をはじめとしたメディアで紹介されるまでになったことを嬉しく思っています。

ただ、これは始まりにすぎません。誰もが、企業の企画会議で行き詰ったら「そうだ、ユーザーにも参加してもらおう」と気軽にBlabo!を使えるような文化をつくり、企業とユーザーの距離を、八百屋の店主と主婦のように近づけたいと思っています。きちんと考えをもった生活者ひとりひとりを、ただの調査対象にするのはもったいないと思います。よい関係を構築できれば、対象、ターゲットではなく、一緒に商品をよくしているパートナーとなり得るのです。

生活者インサイトを捉えたズレのない商品が溢れる世の中になることを目指し、今日も生活者と共創しています。ユーザーと直接つながり、お客様の切実な問題を捉えた無駄のないマーケティングを一緒に始めていきましょう。

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