ユーザーの本音にハッとした。ハウス食品が生活者と共同で商品開発を始めたわけは?(中編)

ハウス食品
2016.11.04

Blabo!を活用したハウス食品の「MORE シチュエーションプロジェクト」では、全国の生活者からたくさんの本音とアイデアが集まりました。

みなさんからアイデアや気付きを募集する中で、シチューに対して抱えているモヤモヤが少しずつ明らかになっていきました。

集めた声から、ハウス食品はシチューを通じて新しい価値を提案をすることに。2016年9月から、Blabo!印のハウス食品シチューが全国のスーパーで買えるようになりました!

今回、「MORE シチュエーションプロジェクト」が始まり、生活者の本音を発見して、新しいユーザーへのコミュニケーションをつくるまでの舞台裏を、ハウス食品の宮戸洋之さんにお話をお伺いしました。

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本音はポロっと出てくる

坂田: 「MORE シチュエーションプロジェクト」がスタートし、色んな本音やアイデアが登場したかと思いますが、宮戸さんはいかがでした?

宮戸: 1000個近くの色んな本音やアイデアが出ましたね。Blabo!ユーザーのみなさんとの共創による気づきは大きかったです。一人で考えてアウトプットするのに比べて、社内の部門を横断したプロジェクトチームで、生活者との声を聞いて生まれたアウトプットは、同じアウトプットだとしても明らかに違うでしょうね。

坂田: 何か印象に残っている気づきはありますか?

宮戸: クリームシチューを作るときに、焼き魚や鶏の唐揚げが出ているというシチュエーションについての投稿がありましたよね。一昔前は、シチューはメインのおかずで、ごはんとシチュー、パンとシチューとして食卓に並んでいたのが、最近は、一緒に焼き魚が出てきたり、一品で満足していない家庭が出てきている。

坂田: シチューだけだと、旦那さんがどうも物足らない、というBlabo!ユーザーからの本音ですね。

宮戸: カレーライスだったら、カレーを作ったらいい、鍋なら鍋でいいのに、シチューだともう一品必要になる。そうなると、結果的に忙しい主婦にとっては負担になってしまいます。そうなるともしかしたら作りづらくなっているのかもという発見がありました。

一皿だと旦那は不満足。二皿では奥さんが大変…

坂田: シチューは一皿メニューと思っていたので「一皿メニューではない」、という声が出たのは発見でしたね。店頭でシチューにするか検討するときに「旦那さんがシチューだともう一品欲しそうにする」と思ってしまい、結局一品で済むシチュー以外のメニューにしてしまう。

カレーでいいや、鍋でいいやとなってしまうと、少ないメニューの中でローテーションすることになる。でもそうすると、子どもに「また、鍋?」って言われてしまうことに。カレーや鍋のような一皿メニューを選んだら選んだで、それによって「満たされないニーズ」が生まれていることは発見でした。そういう、言葉にならないモヤモヤを発見できたのは大きかったですね。シチューとかカレーという単体のメニューで見るのではなく、どうそれぞれが関係するか「つながり」が見えてきましたよね。

宮戸: シチューを一皿作っておけば、OKというのはクリームシチューのヘビーユーザーにとっての価値でした。でも、あまり旦那さんが満足していなかったり、カレーに比べて食べた感が足りないと感じている人たちが出てきている。これからは、一皿では満足できない人たちが満足する食べ方なり、製品なりを作っていかないといけないのかもしれません。

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シチューとご飯は合う合わない!?「ご飯問題」勃発

宮戸: ユーザーの中には、粘性を高めて味を濃くする人がいたり、顕著な例ではご飯にかけて食べたりする人も。メーカーが基準を設定しているものから、生活者がアレンジしているんですね。

坂田: 特に印象に残った本音として「ご飯問題」がすごく盛り上がりましたね。Blabo! ユーザーでも、ハウス食品の社内でも二極化するくらい大きな問題でした。

宮戸: 外食に、クリームシチューはありません。みなさん、家庭のクリームシチューの味だけで育ってきている。家のクリームシチューが、世の中の当たり前だと思っている。シチューって、各ご家庭で独自の進化を遂げた「ガラパゴスメニュー」だという気づきも大きかったですね。

坂田:  そうなんです。シチューって他の家でどう食べているかが謎なメニューなんですよね。 まさしくガラパゴス(笑)

宮戸: ハウス社員がどのようにクリームシチューを食べているか社内で調査しました。そうすると、1割くらいの人がかけて食べている。別々に盛ってるけどかけた状態で食べてる人が3割くらい。その食べ方を下品だと思っている人もいるし、当たり前だと思っている人もいる。当たり前だと思っていた食べ方が、違うと大人になって気づく。特に、結婚によって夫婦間で違いがあることに気づくというエピソードがたくさんあることがわかりました。

坂田: エピソードはたくさんありましたね。ご飯にかけ派がいたり、いやそれはありえない人もいたり。実際にご飯にかけたほうが美味しいと教育された旦那さんがいたり。

宮戸: 外食には広がってないメニューであることが、クリームシチューの独自性、話題性を出してるとは思いますね。

坂田: たしかにこのガラパゴスメニューであるからこその話題性や面白さは気づきでした。各家庭でご飯問題が起きていて、分け派、かけ派が勃発していることのおもしろさが、ちゃんとプロモーションにも反映されると伺いました。

宮戸: はい。私たちは、お客様の実態に即したことをマーケティング施策とすることに念頭に置いています。そうでないと、家族全員の夕食で失敗したくないと考える主婦の共感が得られないと思うからです。実際に満足されているお客様の食べ方やレシピを、共創を通じて発見し、提案して「なるほど」って思ってもらえるようにしたいんです。

坂田: 一方的な決めるのではなく、対話を通じて提案していきたい。

宮戸: そうです。メーカーの都合で「この食べ方してね」とか「ハウス的にはこのほうが量は増えるし」というのは通用しないですよね。今回、提案のベースは定量の調査で出てきたわけではありませんが、ご飯問題については今回の共創での反応をみれば、相当ポテンシャルあるんだろうなと思いますね。何しろBlabo!上でもすごいコメントがきたり、Blabo!ボタン(いいアイデアにLikeできるボタン)が押されていましたね。

後編につづく